グループ紹介 Group Introduction

応用 糖、腫瘍ホーミングペプチド
連結クロリンe6による
次世代光線⼒学による癌免疫に
及ぼす効果の検討

光線力学療法(PDT)は、光感受性物質(PS)をがん組織に集積させ、その後特定波長の光を照射して活性酸素種(ROS)を生成し、がん細胞を破壊する治療法です。PDTは低侵襲な治療法として注目されており、日本はその治療に必要な色素に関する知見が豊富で、開発において有利な立場にあります。しかし、実際の臨床で使用可能な薬剤は限られており、腫瘍選択性が高く、かつ高い抗腫瘍効果を持つ次世代PDT薬剤の開発が求められています。
本研究では、PDTの効果を高めるため、Warburg効果を応用した新しい薬剤の開発を行っています。具体的には、光感受性物質クロリンに糖を連結した30種類以上の糖連結光感受性薬剤を合成し、これらのPDT効果を検証してきました。さらに、本研究では糖だけでなく、腫瘍に集積しやすい腫瘍ホーミングペプチドをクロリンe6に結合させた新しい薬剤を開発し、その殺細胞効果とともに癌免疫に与える影響も調査します。このアプローチにより、より高い抗腫瘍効果と選択的な薬剤の腫瘍細胞への集積が期待されます。
研究方法として、まず糖および腫瘍ホーミングペプチドを結合したクロリンe6の物理的・化学的特性を明らかにし、in vitro試験とin vivo試験を通じてPDT効果を評価します。in vitro実験では、腫瘍細胞への取り込みと細胞内局在の検討を行い、続いてROSの発生量やアポトーシス、ネクローシスの誘導を評価します。in vivo実験では、Xenograft皮下移植腫瘍モデルを使用し、薬剤の腫瘍への集積性を測定します。次に、PDTを実施し、腫瘍縮小効果を評価するとともに、最適な治療スケジュールを検討します。
また、糖および腫瘍ホーミングペプチド連結クロリンe6を用いたPDTが癌免疫に与える影響も検討します。正常免疫を有するマウスを用いてSyngeneic皮下腫瘍移植モデルを作成し、PDTの効果を調べます。特に、腫瘍抗原が流入するリンパ節(dLN)を切除し、その免疫応答が抗腫瘍効果に与える影響を調べます。さらに、T細胞の活性化状態や免疫調節細胞の解析を行い、腫瘍抗原特異的T細胞についても検討します。抗PD-1抗体や抗CTLA-4抗体との併用療法による抗腫瘍効果の増強についても調査予定です。
本研究は、次世代のPDTによる低侵襲かつ効果的な癌治療法の実現を目指しており、光感受性薬剤の腫瘍選択性を高め、癌免疫療法と組み合わせることで、より強力な抗腫瘍効果が期待されます。

Member メンバー紹介

教授
片岡 洋望 Hiromi Kataoka
専門分野
消化器内科
主な資格
  • 日本消化管学会:副理事長、ガイドライン委員会委員長、総務委員会委員、研究助成委員会委員、胃腸科専門医、指導医
  • 日本消化器病学:財団評議員、学術研究助成支援検討委員会委員、ネットワーク委員会委員、東海支部幹事、専門医、指導医
  • 日本消化器内視鏡学会:社団評議員、学会賞選考小委員会委員、東海支部幹事、専門医、指導医
  • 日本レーザー医学会:理事、規約委員会委員長、選奨委員会委員
  • 日本癌学会:評議員
  • 日本内科学会:評議員、総合内科専門医、指導医
  • 日本潰瘍学会:理事
  • 日本光線力学学会:理事
  • 日本消化器癌発生学会:評議員
  • 日本カプセル内視鏡学会:代議員
  • 日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会
  • 日本がん治療認定医機構:がん治療認定医
  • American College of Gastroenterology Member
  • International Society of Gastroenterological Carcinogenesis Member
  • 東海胃腸疾患研究会代表世話人
  • サイトプロテクション研究会世話人
メッセージ
PDT技術と癌免疫療法の融合により、従来の治療法にない新しい抗腫瘍効果を生み出し、がん治療の未来を切り開くために全力を尽くします。

教授
青山 峰芳 Mineyoshi Aoyama
専門分野
小児科学 神経化学 小児がん がん治療
主な資格
  • 日本小児科学会 専門医
  • 日本薬理学会 学術評議員
  • 日本生理学会 評議員
  • 日本薬学会 代議員
メッセージ
これまでの小児がんや組織微小環境の研究の経験をいかし、次世代PDT技術の開発を進め、臨床応用をめざしていきます。

助教
田中 守 Mamoru Tanaka
専門分野
消化器内科
主な資格
  • 日本内科学会:専門医
  • 日本消化器病学会:専門医、評議員
  • 日本消化器内視鏡学会:専門医、評議員
  • 日本消化管学会:専門医、評議員
  • 日本レーザー医学会:専門医、評議員
  • 日本消化器癌発生学会
  • 日本癌学会
  • 日本光線力学学会
メッセージ
次世代PDT技術を駆使して、がん細胞選択性が高く、免疫効果も期待できる治療法を開発し、最終的には臨床応用をを目指します。

Device 機器の紹介

LEDR-660DL
(オプトコード株式会社)

LEDR-660DLは、オプトコード株式会社が開発した植物研究・試験用途向けのLED光源装置です。ハイパワーLEDを90個使用し、従来の砲弾型LED1000個と比較して約7倍の光合成有効放射量を実現しています。低消費電力で高効率な光源特性を持ち、赤外線放射が少ないため植物への熱負荷を最小限に抑えられます。当研究室では、光線力学療法(PDT)の照射において、in vivoおよびin vitroの実験に使用しています。660nm波長の赤色LEDを中心に、冷却用放熱ファン付きのコンパクトな平型設計により、さまざまな実験環境に柔軟に対応できる装置です。

植物研究用LED照明 ISシリーズ

当研究室では、光線力学療法(PDT)の照射において、in vivoおよびin vitroの実験に「IS-mini」シリーズのLEDパネルと専用定電流電源を使用しています。本システムは、シーシーエス株式会社製の植物研究用LED小型照明「IS-mini」シリーズのパネル3枚と、それらを制御する定電流電源ISC-201-2で構成されています。単色パネルの場合は最大2台、複色パネルの場合は1台の制御が可能であり、無段階調光機能を備えているため、照射強度を精密に調整できます。特に、当研究では590nm、710nm、および735nmの波長を使用しており、PDTの光源として適切な波長の選択と強度制御を行うことが可能です。
本システムのコンパクトな設計(幅80mm×奥行き212mm×高さ125mm)により、培養細胞や動物モデルを用いた実験環境にも柔軟に対応できます。これにより、より正確な光照射条件の設定が可能となり、PDTの効果検証を高精度に進めることができます。

PDレーザー
(OKファイバーテクノロジー)

株式会社OKファイバーテクノロジーのPDレーザーは、664nmの波長を発し、高い組織透過性と光吸収特性を備えています。 当教室では、タラポルフィンを使用したマウスの実験で本レーザーを使用しています。タラポルフィンは腫瘍組織に選択的に集積しやすく、664nmのレーザー照射によって活性化されることで、がん細胞の選択的破壊を促します。本システムは低侵襲ながら高い治療効果が期待でき、PDT研究において有用性が高いと考えられます。また、OKファイバーテクノロジーの光ファイバー技術により、レーザー光を高精度に患部へ導光できるため、マウスモデルにおける微細な組織への照射が可能です。この技術により、がん治療の可能性が広がり、PDTのさらなる発展が期待されています。

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